同人道(その3)
・2000年
 20世紀も最後の年。
 目標、20世紀最後のコミケには出よう。

・1/16
 パソケット27に出る。月末のサンクリには落ちたが、来月「Lovely Comic」が開催される。初めて出たイベントの後継イベントだ。数少ない、18Kオンリーミニイベント。これはちょっと何とかしたい。
 アイテム数が増えたせいか、売上も経費+αぐらいになってきた。

・2/20
 「Lovely Comic」に出る。18Kオンリーなので、客層も限られる。しかも今回は、律義にも前回の失敗のお詫びとかで、招待されたので、参加費不要である。
 ここでコピー誌第2弾を企画。「シール」で造った「Lolitone」をコピー本に仕立て上げた。シールは最初売り物にしたが、赤爆氏の「こんなもんどうすんの」の一言で、おまけに回した。その代替品でもある。そりゃまあ、確かにあんなもんどうすんねやろ、とは思うけどね(苦笑)。
 ほしの☆はるか氏が隣になった。氏の造った展示キットを買った。今も結構使っている。話が出来たので、サイト覗いて書き込んでリンクする。
 売れ行きは結構良かった。知ってる同人作家も何人か来ていたので、買って帰る。

・3/12
 サンクリ7ー、セブンー、セブンー。進め因果の果てまでも。
 ここでもソフトで出してしまったので、「A-minor2・もーちょい版」とコピー誌「Lt2」を出す。今回からシールはおまけにした。なんか買ってくれたらつける、と。
 コピー誌はポロポロ出て行くが、ソフトは低調。やっぱり、手に取りやすさが違うと、こうも数に影響するのか。
 しかも今回、何かの間違いかも知れぬが、色紙を描いてくれとまで言われた。緊張しつつ、エンピツ画だが上げる。えーんかいなー。
 シールはおまけとしてはいいのかも。まだ台紙はあるし、もーちょい造っておくか。

・4月某日
 レヴォの通知が来た。オッケーベェベ、当選だぜ。しかもエロの間潜入成功(笑)。
 これで、オフ本を出す事を決定。原稿に取りかかる。
 今回のテーマは「やるだけ漫画は難しいか?」であるが……難しいです。はい。聞いてはいたけど。ただやるだけなのに、なんでやねんな……そうじゃない。「やるだけ」だからだな。ストーリーがあって、それに沿って描く方がなんぼか楽だわ……でもないか。
 つまり漫画描くのって、どんなジャンルであれ、とてつもない労力を必要とするってことよねー。ベクトルが違うだけで。
 次からは裏設定を共通化して、話らしきものを構築していこう。

・5/5
 恒例GWパソケ。
 CD−Rを導入し、今回からCDも販売することとなった。ソフト総集編と、コピー誌のデータ集である。
 「裏切りのA-minor」正式リリース版を出す。こっちはさすがにソフトが中心。ここでまで本が多く出るようではいかんでしょ、やっぱり。人として間違ってるよね(笑)。←それはあなたです。


・5/14
 春レヴォ〜。今度はエロの間に出陣。
 オフ誌「Mistic Eyes」を出す。印刷は近場の「ねこのしっぽ」。しかし、表紙の色調整が巧くいかなかった。肌は綺麗に出たのだが、その他が全体に薄くなってしまった。もっと赤を強調したかったんだが。これだからCMYKって嫌いよ。
 入るときがコワい。噂には聞いていたが、先頭は今にも殴り合いが始まりそうなほどに殺気立っている。怒鳴り声まで時折響く……大変だわ、スタッフも(苦笑)。確かに殴ったり蹴りの一発も入れたくならぁな。俺だったら蹴り入れちゃうね(笑)。
 しかし、さすがにレヴォのエロの間、今まで出たイベントで出たアイテム数も最大である。売上も同様。
 「にくしみ党」七海氏が来たので雑談。しばらくしてLt2がなくなる。なくなるとは思わなんだわ。もうちっと造っておけばよかったか。
 逆に、ソフトで来ていたのは、以前来てくれた人他数名。本に比べるとあまり動かない。しかし販売実数は、同人ソフトエリアとあまり変化ない。
 つまり、本中心のイベントでは、どこで出そうがソフトの売れ行きは変わらない。逆に本を出しているのなら、こーゆーイベントはそこそこ期待出来る、ということでもある。学習学習。


・6月末
 コミケハズレ。shit。
 なんか嫌われているような気がしてならない   いや、三日目の男性向け創作で出すからか(苦笑)。そら競争率高いわな。

・7/2
 大学のサークル合宿(OBだけど)をキャンセルして臨んだ「Hi-section」である。ここも「Lovely Comic」同様18Kオールジャンルということで臨んだのだが、突発イベントなので、ちょっと迷った。でも出陣。
 場所は蒲田の大田区産業プラザPIO。聞いた事はあるが初めて行く。
 コピー誌「ラブひなるんです。」を出す。旬を過ぎる前にやっておかねば、と思ったから。CG集ではことごとく間際で、季節を外してきたから、今回は季節を外れにくいやつを選んだ……が、描きにくい。赤松健のキャラは俺の線と相性が悪いのか。特にあの髪型。某ギャルゲを真似たというが、ということはその元ゲーも描きにくいということだ。まあ、ゲーパロをやる気は当面ないが。
 流行の髪型っつーか描き方って、何か角度を変えると急に破綻する髪型してんだよな。一方向からの視点にしか対応していない。超人ロックかお前ら。←スターシマックでも可。←そんなの誰も知りません。
 それはともかく、なんか閑散とした空気が……隣は大盛り上がりなのに。リーフ系イベントだったからだろう。

 どうも、オールジャンル18Kオンリーイベントは、場所を選ばねばいかんのではないかと思う。リーフ系とかKEY系とか、萌えファンのいるイベントはいいんだろうが、ノンセクションはパスが良くないと人が集まらないってことか。せめて都産貿ぐらいパスのいい知名度のあるとこでやらんといかんのかな、と思ったり。
 結果については、まあ、赤にはならなかった程度。つったって、パソコンやソフトとかへの投資含めたら、年間累計は結局赤だからなあ。趣味でやっとるとはいえ、同人はつらいよ、おっかさん。


・8/11〜13日
 夏の風物詩、コミケである。しかも三日目は雨。
 二日目は友人も委託&売り子で出ていたので、そこへ行く。しかしいない。「にくしみ党」を訪れ、七海氏に挨拶。「やまた電脳工房」を捜すが、委託で参加していた。カタログで見つからないわけだ。しかし桂氏、そんなことをしとる場合ではないと思うのだが(苦笑)。
 しかし思うのだが、昔に比べて今の一般参加者は念が弱い。昔なら、台風すら進路を捻じ曲げたものだが。今の連中は、それだけコミケというイベントに対しての参加意識が低い、という風にも取れる。単に「買い物に来ている」だけのような。

 最近、コミケに対して様々な不満がある。いや、落とされた事ではな(いわけでもないが、それはさておき)くて、準備会の対応に関してである。
 特に早急に対応すべき、しなくてはならない問題を、放置しすぎなのである。徹夜組然り、列の整理方法然り、また「落ちない大手サークル問題」然り。
 憶測なら、色々とある。徹夜組に真面目に対応すると警察沙汰になる可能性があるから、このままギリギリの線で置いておこう。列の整理はそれぞれのブロック長に任せてあるから、準備会としてはそちらに一任してある。大手は毎回準備会に多額のカンパをしてくれているので、落とす訳にはいきませんよね。とかね。
 これらは確たる証拠があるわけではないのだが、「ありそう」なラインの噂である。あくまで。しかし、現状の準備会の対応を見ている限り、これが全てデマだと言い切れるだけの根拠はない。
 例えば、三日目西館で起きた、サークルスペース破壊事件。「なんじゃそりゃ」ってやつ。西館の行列整理担当が、「列を外に出したら雨に濡れるよね」ってことで、館内に並べていたということだが、こいつらバカだ。完全に。並んでいた連中もバカなら、スタッフまで同じレベルとは。
 この並んでいた連中というのが、サークル買い出し部隊やらダミーやらの連中の列なのである。開場前に出来た列が起こした事件なのだから、一般参加であるはずがない。
 こんな連中、雨だろうが何だろうが外に並べておけばいいのである。ルール無用の悪党なのだから、正義のパンチをぶちかまして外に放り出しておけば、こんなことにはならなかったのである。
 じゃあこれで一体誰が責任を問われるのか、となれば、やはりこれは列の整理をしていた西館の責任者である。会社組織なら確実に責任問われるよ。そんな親方日の丸みたいな後処理してんじゃねーよ。ばか。怪我人まで出てンのに。
 これで誰か死んだら、確実にコミケは以後数年は開催禁止になろうな。「危険なイベント」ってことで。でなけりゃ警察が必ず監視しながら行われるとか。下手なモノ売ったら即逮捕よ。まあそれは自業自得だけど。
 ……とまあ、こういった怒りを、コミケ終了後から友人と未だにやりとりしている。こんなに続くネタは久しぶりだ。つまりそれだけ根深い&奴も同じように思っているっていうことだ。落とされた恨みって食い物より恐いね。いや、別に落とされかたからではなくて(笑)。

・8/27
 パソケ29。出られなかったコミケ明けでテンション低い。なんかサークル数も少ないし。しかも次、2月? 季節開催ですらなくなってるよ……半期に一回も遠くないなこりゃ。
 遅刻しそうになり、ギリギリで入る。うーむ、やはり少ない……「にくしみ党」の七海氏に出迎えられ、手伝ってもらって設営。申し訳ございません(関根勤風)。
 モノはぽつぽつ出る。しかしペースは今一つ。本3冊買ったらチャラ。
 撤収後、しばし入り口付近で七海氏と歓談。待ち合わせの相手である桜沢凪氏と対面。同じ都産貿の別フロアのイベントに出ていたようだ。
 そのまま秋葉へ同行して、飯食ってショップ回り。カートが邪魔。もう少し機動性を考えたスタイルにせねば、と思う。
 なんか熱い同人の人たちと行動すると、自分も作り手に回る前は相当熱かったんだなー、と思い起こすことよのう。←年寄り。


・9/末
 よっしゃ! レヴォゲット!
 とゆーことで、準備だけは進めていた本を本格的に進める。
 予告ではビジュアルノベルとしていたが、本にしたのはイベントに合わせて、である。
 VN版も、コミケに出られるならそっちで出そうと思う。一作で二度やっちゃうのもアコギっちゃアコギかな。アコギシステムズ。

 何だかんだで思うのは、「同人とは果たして営利目的行為なのか?」である。
 個人的には、イベントやショップで売って、原価(+諸経費)以上の価格がついていれば全て営利行為である、と思う。つーか、商法的にはそう。確か、年間36万までの荒利益は無税で済むが、それを越えたら「その他所得税」がかかるのである。
 大半は無税でいけるであろうが、一部の儲かっているサークルなんかは、申告しないと追徴課税とかやべーことになる可能性がある。まあ、俺は関係ないけど、一応領収書などは保存してある。念のため。

 で、同人てのはもともと「非営利行為」である。仲間内のやつだからね。コミケでの定義も、現状には全くそぐわないが、そうなってる。
 そこで思うのが、「同人」は営利目的でやるのが正しいか、非営利を貫くか、というものである。
 原価諸経費分はともかくとして、キリのいい所に値段設定をすると、どうしても端数で儲けになったり損が出たりする。これをどうするか、ここへさらに上乗せするかという点で、各人の相違がある。
 同人にかかる金は決して安くないし、ビンボー人にはけっこう辛い。本を出せば、だいたい小部数でも2万ぐらいかかる。生活費と考えると、半月以上の額になる。
 だから、少なくとも経費回収ぐらいはしたいよねっていう考えは、この不景気には誰でもある。

 では、それがいいことか悪いことか、と考えればどうか。
 俺自身は、いくら価格を付けようが自由であるし、利益を出そうとする事も悪い事ではないと思う。
 もちろん、そういう考え方はアマチュアリズムではない。しかし、現状アマチュアリズムを唱える方がむしろ妙に見えるぐらいであるから、それは同人界全体の潮流として容れるとしたい。俺とて損は嫌だからだ。

 が、考えたいのは、「自身の向上」である。
 人間を突き動かすのは、やはり欲望である。しかし、結果として目的が近視的な欲望から変ってしまうことも多い。
 俺が言いたいのは、同人をやる事で何か自身のスキルアップや思考の変化などがあれば、それ自体に意味があるのではないかということである。
 特に、儲ける為に本を出す場合、「儲けるにはどうしたらいいか」というのを真剣に考える。ジャンルを選んで、本のデザインを考え、売る為に絵を必死で練習する。
 結果、本が売れれば万々歳であるし、売れなくても、そのためにした努力は、自身に残るはずである。
 この際、同人で利益を出す事云々より、その過程において得られるものを考慮すれば、最終的には自身には何かの形で向上があるはずである。例えそれが「経済的向上」であっても、である。金儲けの才能は、社会的には認められてるんだから。

 ……とまあ、利益主義を正当化するような言い方をしてはいるが、要は誰だって儲かればそれに越した事はない、と思っているってこと。今時同人で、意識的に損するだけの本やらソフト創りする奴はいねーっての。
 俺だってなあ、税金払ってでも、一回でいいから一万部ぐれえ完売させてみたいんだよ(苦笑)。


・10/2
 なんか葉っぱ方面は大変らしい。某小並や花札屋の影響なのか、パロディは冬の時代となりそうな気配。
 しかし、葉っぱ方面は、「イベントで売るのはオッケー」なのかという議論が、未だ決着をみていないようだ。どうもHPに書いてあることが曖昧で。
 小並にしろ花札屋にしろ、「うちのキャラを勝手に使うな」ってのが主眼なのでイベントでの配布も問題にしているようであるが、葉っぱの場合、それを言えた立場じゃねーから、イベントだけは黙認ってことのようだが……まあ、俺にゃあこれは関係ない。
 やはり男はオリジナルロリ一直線!←それはそれでヒジョーに問題あります(大笑)。

 しかし、同人パロディって、をたく内ムーブメントのバロメーターだからねえ。これで利益出してるのは、確かに著作権などの侵害ではあるんだけど、あんまり小規模なのまで攻撃すると、ムーブメントどころか嫌われるだけになる。小並なんかすでに業界内では嫌われてるから、これでユーザーサイドに嫌われたらおしまいでしょ。別にいいけど。

・10/27
 このサイトも一周年を迎えることとなった。
 思えば、たった1年半ほど前、ふと思い立ったCG集が切っ掛けである。
 それが今ではすっかり完璧なる同人野郎……ってそれ以前からそうやっちゅーに。
 大きく違うのは、昔は買い手であったのが、売り手になったことである。

 今の野望というか目標は、「一度でいいから商業誌に描こう」である。
 五年前ならいざ知らず、今ではどーかなー(苦笑)。

 漫画自体はもう、高校時代から描いていたのだから、真面目に続けていればもう少し……ねえ(苦笑)。その当時、周囲に漫画を描いていた人間も少なからずいたのだが、大学進学などでバラバラになって、今では大半連絡も取れない状態である。
 しかも大学ではテーブルトークRPGカードゲームにドはまりし、漫画からかなり離れてしまったのが悪かったか、そこでのブランクは相当に腕を落とす結果となった。
 それでも、関東へ就職の為に来てからは、高校時代の仲間が近くにいて、そいつが細々同人漫画を描いていたので、それを手伝いながら、少しずつCGを始めたりしてリハビリを重ね、今に至っている。

 しかし、この漫画仲間もそうであるが、漫画を志す人間は、周囲の協力がない限り、地理的条件に相当左右されるもんだと痛感した。
 首都圏には、コミケを始め、様々な同人イベントが多数行われている。しかし、地方(俺の場合、名古屋を中心とした中部圏)では、今でこそそうでもないが、当時は同人イベントはそんなに数も開催されていないし、インターネットもなかった時代、どうやって申し込むのかもなかなか調べがつかなかった。たまたま知っている人間がいたから、印刷屋の手配(これは地元に有名どころがあった)やイベント参加も成ったものの、何も知識のない人間だけが集まっていたら、どうだったであろうか。
 そう考えると、それに協力・理解してくれる(親などの)周辺環境がないと、漫画(同人活動)というのはなかなかやっていけないものである。

 今はそうでもない。インターネットやiモードで、遠方の仲間を募る事もできる。メールで離れた仲間と連絡も取り合える。印刷屋やイベント情報も、それらで調べることも可能だし、十数年前に比べてコミケに集まる人数も倍に増えたし、サークル数もそれ以上に増えていよう。ちょっと捜せば、地方でも漫画サークルのひとつや二つ、すぐに発見できる。
 そう考えれば、今は恵まれているのかもしれない。
 が、一方で、同人の商業化も進み、景気の動向を反映してか、売れるものと売れないものの境界がはっきりしてきたようにも感じられる。
 しかもその「売れるもの」であるエロ関係ですら、一部の大手が儲かっている程度で、セーラームーンバブルの頃の勢いは全体としてはない。それはエロに限った事ではなく、「オリジナルロボット少年漫画」という、ある意味業の深い(笑)道を選んでしまった漫画仲間は、それは厳しい(経済的)状況にある。
 そんな中で、俺は活動を再開した形になったわけだが、果たしてこれがどこまでやっていけるものか、予測することすら出来ない。
 が、少なくとも思うのは、この逼塞した状況で努力していくことは、将来景気が回復した時に、自信の基礎となりうる、ということである。バブルのように、単に見かけの大きさだけで勝負することなく、中身の詰まった大きさで勝負できるのなら、今この修行も由、と思う事が出来るのである。
 ま、人間努力することを忘れたら、あとは脳細胞壊してボケてくだけだからね。

・10/29
 「コミックレヴォリューション28」である。
 今回は七海氏にも来てもらった。一人だとなかなか出歩けないからである。結局出歩く時間はそうそうなかった。早いうちに出ておけばよかった……。まあ、安心して出ていられた、という点ではよかったが。やっぱりもう一人いるとちがうねー。狭かったけど(笑)。
 朝から雨で鬱陶しい。一週間ぐらい前に台風が発生した、というのを聞いて、嫌な予感はしたのだ。最近の同人野郎は念が弱い。10年前なら進路を捻じ曲げたもんだ。それでも来るだけは来るんだから、その点は相変わらず。
 しかも荷物がスーパーヘビーウェイト。次は宅急便使おう……。

 五館開催で、どうも交通が大混乱だったようだ。特に3Fは初めてということもあり、出るのに行列が出来る始末。仕方ないが、次もこうなると考えものだ。
 売上に関しては、特に言うまい。結果は、全て自分の腕相応なのだ。「2万部即日完売」が全て腕とは思わないが、行列が出来るレベルになるにはまだまだ遠い。そこまで辿り着くのにどれだけかかるのか、いや、それ以前に同人から足を洗うことになるかもしれない。ま、この方面のプロになっちゃえば別だけどね。

 さて、一番の問題は、「本かソフトか」であろう。
 来て頂いた七海氏は、CGコミックで活動している。しかし今回は本中心のイベントなので、コピー誌も用意していた。
 ソフトを求める人口は、決して少なくはない。と思う。しかし、その活動の場が、徐々に縮小しているのは事実である。しかも、活動の場自体が、大型イベントのワンパートという方向へ固まりつつあり、パソケットのような専門イベントは消え入りそうな状態である。
 原因は、ショップにあるのではないか、と思われる。
 首都圏には、同人ソフト販売ではメッセサンオー、虎の穴、K−booksなどの有名どころを始め、中小の同人ショップが多数ある(もっとも、その大半は秋葉原に集中している)。ここに置いておけば、委託イベントを毎日やっているようなものだから、一回イベントに出るより確実に数は売れる。
 だが、それも善し悪しであろう。ショップの隆盛に伴い、イベントが衰退していく。それでは本末転倒であろう、と思わなくもない。
 ショップの存在が悪いとは言わないが、イベントを食うほどの勢いがあるのもどうか、と思う。実際、中古同人(という言い方も妙なものであるが)を扱うKには、イベント直後に大手の限定本を売りに来る「同人転がし」が必ず来る。池袋では、サンシャインの目と鼻の先にあるから余計に、である。
 弱小のやっかみととられても構わないが、言っておこう。

 お前ら、それは違うんじゃないか?
 そうやって小金を稼いで楽しいか?
 何しにイベントに参加してるんだ?

 グチを言っても始まるまい。そんなのは、売れるようになってから考えればいいことだ。

 これに似たようなのが、レヴォのカタログ漫画にあった。「売らない権利」というやつ。
 確かにイベントでは、金銭で売買する行為が普通に行われているので、そこで買う側は、どうしても「客」であると思いがちである。
 が、実際は、買う側も売る側も、同じ「参加者」なのだ。
 買う側ばかりで参加していると、その辺りが解らなくなるのは否めない。俺とて、売る側に立って、初めてそういうのを実感したのである。
 カタログ漫画は極端な例であろうが、口に出されてないだけで、周囲の人間も多かれ少なかれ思っているのではないかと感じる。しかし、やはりイベントは「卸売会場」ではなく、「参加者同士の本やソフトを介したコミュニケーションの場」であると認識してもらわねばならない。それを理解しない参加者が増えてきたことが、最近のイベント参加者の変化なのだろうか。

 もう一つの「モラルハザード」についても、あれは一種の集団ヒステリーのようなものだから、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないが、いわゆる「キレやすい」人間が集まりやすい場所でもあるので、今後このような事件は頻発するのではないか、とも考えられる。

 こういった連中は一応力押しで解決が可能なのだが、もう一つの問題は、「変な奴」である。
 突然、見も知らぬ人間がやってきて、知り合い面して話しかけてきたら、どう対応したものであろうか?
 今回、それがあった。俺は七海氏の知り合いかと思っていたら、実は全く見も知らぬ相手。しかも話の内容は「自分の世界に浸った」もの(理解不能ではないが、唐突に振られても困る)。世間一般で同じ事をすれば、「狂人」と思われかねない行動が、イベントでは頻発するのである。
 以前、友人とゲームショーに行ったときも、我々が話していたところへ、後ろの見知らぬ(おそらく20歳前後であろう)奴が、突然話に割り込んできた。向こうは全く気にしていない様子であったが、こっちはコワい。本当に。
 ああ、ホンマに支離滅裂になってきたなあ。レヴォのこと書いてたはずやのに。
 みんな、人と人との関わるイベントなんだからさあ、世間一般の常識もちゃんと当てはめようよ、ね。


・11/23
 新しい仕事開始で忙しくなり、あんまり時間が取れなくなった。故に週末や祝日は貴重な時間である。つーか、これが世間では普通なんでしょうが。
 七海氏がコミケに当選したので、そちらで委託させて頂く予定になった。周囲の落ちた方々も、そこへ集結するらしい。なので、あんまりスペースをとってしまうようなモノも出せない。そういう場合にはCG集がベストだ。少数ではあるが、常連化してくれた方々も、その方を待ち望んでいるであろう。
 しかし、差し当たって何にするか、という方策が未だに決定していない。案はいくつかあるのだが、「瞳Prayer」ヴィジュアルノベル版は物量的に無理だし(苦笑)、何か新作をデッチ上げるにしても、ギリギリまで頑張ってギリギリまでふんばってどうにもこうにもどうにもならなくなってウルトラマンが欲しくなるまでやらんことには完成は望めまい。
 また「おまけシール」配布企画も立ててはいるのだが、アイディアはあっても企画倒れが多い。たれぱんだにしたって、新しいアニメを創ると言っておきながら、もう3ヶ月ぐらい経過している。「たれぱんだののろい」だろうか。

 鬼を笑わせるために、ちょっと来年の予定にも触れておこう。
 すでにサンクリ10には申し込んだし、レヴォ29はとある理由から、99%ぐらいは当確が出ている。パソケットは……時期が時期だけに、まあバッティングするイベントもないし、一応出るには出るつもりである。コミケに向けて新作造ることだし。
 夏コミは申し込むが、まだ落選がこの冬で2回目なので、次も落ちる可能性はある。となれば、来年の冬は(コミケ準備会の布告が本当なら)出られる、ということなのだろうが……
 どうも最近、イベントとの相性があるような気がしてならない。
 コミケとはどうも相性が悪い。逆に、レヴォとは非常に相性がいいような気がする。サンクリはコミケの下部組織だから、このところ相性が悪かったのだろうか。これら以外の小規模なイベントは、まあまあだろうか。
 コミケに嫌われている節があるのは、さんざっぱら申込書やら意見書でコミケの体制批判を繰り返したためであろうか(笑)。誰もが思いつつ、出る為に口を箝してしまうようなことでも平気で書き連ねたから、そりゃまあ嫌われもするかなーとは思ったが。
 単純に「運が悪い」というのもあるかも知れん。俺はクジには弱いのだ。貧乏クジには強いんだが、そんなん強くても嬉しゅうない(苦笑)。
 ただ、相性がいいのと売れるのかどうかってのは別問題で、要は雰囲気の問題である。自分好みのイベントかどうか、というところで。サンシャインでのイベント自体が比較的好きだってことかな。都産貿とか。ビル系のやつ。
 売れる売れないは腕の問題だから、それは自分の修行不足なんであって誰かにあたることではないが、自分で何かムーブメントを作るって難しい、と痛切に感じる次第である。


・12/30
 一気に飛んで、20世紀最後のコミケ・ラス日である。
 今日は予告通り、「にくしみ党」にて委託させて頂く事になった。
 ……ギリギリで到着してみると、すでに他の委託の方々は到着済み。すんまそーん。

 ここで、すでに「にゃぎーずはうす」掲示板ではいくらかやりとりのあった、早乙女桜氏と対面。掲示板上では色々聞いていたので、どんな異様な人物か、と思いきや(笑)……なんだ、まともな人物ではないか。まだヴァッシュのコスプレ状態ではなかったので、何かちょっと安心。話してみれば、気さくな人物だ。年齢が近い事からでもあろう。
 しかし、予想はしていたが、本を置くスペースが小さい。こんな時はドラえ……いやいや、準備してきた組み立て式ディスプレイスタンドの登場である。こんなこともあろうかと、予め入手しておいたのだ。
 そんなこんなで、七海氏の弟君・RUC氏とも対面。挨拶の後持ってきたモノの陳列を終えて、チケットをくれた主の場所「沙汰庵」へと移動。

 さっさぶい        ッッ!!
 外向き出入口の正面通路のすぐ脇で、風がまともに吹き入って来る! 外周への行列も、通路に沿って外に向いているので、全く風除けにならん!
 ……死んでしまうので、早々に買い物に出る。じっとしてたら凍死するわい。
 時間が早いので、目的のモノは次々と入手(除く「落ちた」)。

 時々にくしみ党の様子を眺めつつ、主に沙汰庵でダラダラ過ごす。座ってじっとしていると寒いので、全員立って微妙にフットワークを使う。紛らわしいが、荷造りの方のフットワークではなく、その場で足場を変えるボクシングのフットワークの方である。端から見ているとちょっと変。
 午後1時ぐらいだったか、桜沢凪氏がやってくる。新刊を渡す。表紙がロングヘア(素子)なのでのたうつ(笑)。そのまま、凪氏の掲示板常連の和人氏と合流、またも一時脱出。

 しばしダベって、また沙汰庵へ戻る。その後にくしみ党へと行って店番をしてると、沙汰庵の主がやってきて、3時半には撤収するという。荷物を持って、にくしみ党へと移動。
 そして、20世紀最後のコミケは閉幕した。
 さしたる事件もなく、なんとか無事に終了した。よかった。
 売上の方は……であるが、まあ委託だし、ジャンル違うし、仕方ないといえば仕方ない。それに関しては、ディスプレイの方法を間違えた、というのもあろう。あの置き方は手に取り難くてよくない。また一つ学習。

 撤収後、委託関係者らで打ち上げに行く。「秋葉へ行こう」というのはシャレにならんので(笑)、新橋のつぼ八へ行く。メンバーは、わし、七海氏、RUC氏、早乙女氏、そして七海氏の関係者2名(こちらは名前を聞いていなかった)。
 妙な話で盛り上がる。ただ、RUC氏はジェネレーションギャップか、それともこういうノリにはついていけなかったのか、単に疲れてたのか、あまり話ができなかったのがちと残念。店番の時には多少話も出来たのだが。それとも、あれはわしらがノリすぎなのか(苦笑)。
 とにかく、コミケに参加するようなメンバーのこと、こういう話は盛り上がる盛り上がる。七海氏以外は初対面だというのに、付き合いの長い友人のように馴染んで話していられた。共通の趣味領域や方向性があるというのは、それだけで話のネタになるものだ。非常識な人間がいなかったというのもGOOである。

 8時過ぎには、それぞれ予定や疲労もあるので解散した。
 七海氏や早乙女氏とはまたWeb上で挨拶も出来ようが、この場でも、お世話になった旨、御礼申し上げておきたい。とにもかくにも、このページの最初に書いた、「20世紀最後のコミケに出よう」という目標を達成させてくれたのだから。

 さて、仮にもクリエイターの端くれとして21世紀を迎えるに至ったわけであるが、20世紀の〆として、一言だけ自分の主張を申し上げておきたい。

 「目は前に、心は上に向けて進もう」。

 全てのクリエイターに、未来への道が開かれることを願って、20世紀最後の締めとしたい。
 では、2001年のページにて、また再会しよう。