・3/7
さてさて、間もなく3月サンクリである。新作の追い込みも切迫してきているが、そんな最中レヴォの当選通知が来た。
今回から、レヴォはビッグサイトを主な開催場所に移した。当選通知やカタログによれば、永久移転ではなく、確保できなければまたサンシャインでやることも考えている、とのことなので、完全移転ではないらしい。
とはいえ、今回の参加サークルは約4000ほど。従来のレヴォが2500前後だったことを考えれば、書類不備などを除けば、予想通りほぼ全員当選だ。おそらく、空きスペースからしてあと500ぐらいは十分収容可能だろう。
それにしても、会場を変えたにしては、参加費値上げをしないレヴォ準備会には頭が下がる。
いや、もともとサンシャインも大概高いのだろうが、それでも「コストダウンしてみました」という姿勢もあり、努力していることが見て取れる。どっかの日本最大のCイベントも見習え。
ただ、今回移転最初のイベントゆえ、色々と問題が出てくることは必至であろう。サンシャイン時代から引きずる問題、新たに噴出する問題、いろいろあろうが、準備会スタッフにはがんばって頂きたいと思う。もちろんサークルサイドとしての協力は、以前からと同じく惜しまぬつもりである。
今回は参加数から逆算して3館開催であるが、今後数回で増加することであろう。となると、色々大変な状態になるのではないかと思う。
例えば、参加希望サークルが5000を突破するあたりから抽選も必要になるだろうし、そうなると4館5館とスペースも増やすことは出来るが、同時にスタッフ増強も必要になる。現状、サンシャインのように分裂して各ホールごとに責任者を置く必要がなく、だだっ広いホール全体を見渡すことができるため、むしろサンシャインより制御は容易かもしれないが、東を全部使うとなると、今度はその広さゆえに人がもっと必要になるだろう。そうなったときには新しいスタッフを加えざるを得ないのだろうが、ボランティアベースで運営しているレヴォで、きちんと運営に関わることの出来るスタッフが集まるかどうかも心配ではある。
東6ホール全部を使えば、1万サークル程度は確保できると思われる。ここでやっている他のイベント(例えばシティ)を参照すると、大体そのぐらいは入る。1・2・3ホールなら5000が収容限界といったところだろう。
そうなると、レヴォ準備会もそろそろボランティアだけではやっていけなくなるかもしれない。そうなったとき、イベントが変質してしまわないか、少々不安でもある。
まあ、今からそんな早くて数年後のことを心配しても仕方がない。
私に今できることは、イベントに向けて作品作りをすることである。
さて、話題は変わるが、もう一つの懸念材料を忘れてはいけない。
児童ポルノ禁止法案・改悪の状況である。
現在は来年度予算成立、北朝鮮・イラク問題、景気回復対策等々、優先事項があって隠れているが、審議が止まっているだけでなくなったわけではないということを忘れてはいけない。放っておけば、忘れた頃に「絵もダメになりました」とかいきなり言い出しかねない。
そうならないためにも、せめてこの問題を覚えておいてもらいたい。これは描き手だけの問題ではなく、読み手にもデメリットになる。「もうあのサークルの絵は見られない」なんて事態が、この法案の結果如何で起こり得るわけで。
そうなれば、サークルにも読み手にも損失となることであろう。同人誌だけでなく、商業誌も、PCゲームも、アニメも、ネットでの活動ですら制限されることになる可能性をはらんでいるのである。
反対の声を挙げられる方は、機会あれば是非一言物申して頂きたい。BBSで書くもよし、イベントで反対書名するもよし、知り合いに啓蒙活動をするもよし、こういったコラムを書くもよし。もちろん政党の政策担当へメールを送るのもいい(ただし、デムパメールはダメよ)。
なんでもいいから出来るリアクションをすることが、クソバカな連中のクソバカな改悪を阻止するムーブメントになるのである。
皆の協力を望む次第である。
・3/21
毎年そうであるが、3月のサンクリが終わる頃、サークルとしての年齢が一つずつ重ねられていく。
そして、今年もまたこの日、サークル活動開始より満4年を迎え、5年目となった。
……まぁ、活動ったって、好きにエロ絵描いてちょっと売ってみようか、ってとこから始まったわけで、決してクリエイティブに「俺の絵で世の中のヲタクを驚愕させてやるわ!」とか考えていたわけではない(苦笑)。そこまで腕があったら、とっくにプロやってまんがな。
「己を知り敵を知れば百戦危うからず」というが、やっと「己を知り」ってとこがクリアできた、というところだ。敵(というか買い手)を理解するにはまだ時間もかかりそうだし、理解できてもそれに合わせるってことがまだ出来ないしね。だから出来てたらもっと売れっ子になってるだろw。
今のところの己の限界が見えていることで、自分が今出来るのはどんなもんか、というのが大体把握できている。それゆえ、やろうと思っているのがどこまで出来るのか、というのも思いつき段階で見えてくる、というのがこの「己を知る」ことのメリットなわけだが、それを知ったところで、「やるかどうか」ってところで障害が出てくるんだよねー(苦笑)。
いや、考えていることの9割ぐらいは実現可能なわけだけど、そのためには色々障害があって、それも同時にクリアしなければならない。大抵は「時間的制約」と「やる気を出すまでのアイドリングが遅い」ということだ。
時間的制約は、当然誰にでもある。例えば、一生暮らすのに困らない金があるとか、同人で食っていけるとかなら話は別だ。まさに「これだけやっていればいい」状況なのだから。だが、世間的に多くの人々は、この分野は「(実益を兼ねた)趣味」であり、他に生業というやつをもっている。そちらで身銭を稼がなければ、生きていくのはなかなかに難しいものだ。
もう一つの「アイドリングに時間がかかる」というのは――これはもう、性格的なものだから、一人でやっているとこれ以上の障害はない。
誰かと共同でやっていれば、「相手に迷惑がかかる」ために、時間的制約以上のプレッシャーが原動力となって動かざるを得ない精神状態になるのだが、自分一人が動けばいい、というのであれば、なかなかギリギリまで動かない。世の中で多く見られる、夏休みの宿題をラスト2・3日まで溜めこむタイプである(笑)。
もっとも、今は「やれることの中でやりたいことを見つける」って方向へ動いてしまっているのであるが、これは「出来ないことを出来るようにする」ためには、ハードルが高すぎるという問題がある。技術的、時間的なハードルは、一人でやるにはちょっと手間が大きすぎるのだ。
例えば、本来の意味での「同人ソフト」というやつを作ってみたい……と思っても、実際にプログラムを組むためには、色々な障害がある。プログラミングだけでも、それだけで2ヶ月や3ヶ月は食う。もちろん、やり方を知っていて、という前提でだ。
仕事でWindowsツールの制作をやったこともあるので、プログラムのやり方がわからないわけではないが、その技法はゲームのそれではないし、ましてやGUI方面のプログラミングは内部データ処理のそれとは全く毛色が違う。簡単なものなら自動生成されるのだが、それにそこそこ習熟したとしても、画像処理はその道の専門家がいるぐらいに難易度が高い。「やり方を知っている」程度で楽にできるほど簡単ではないし、ましてや最近の開発ツールは、別の意味で昔の開発ツールよりも難易度が高い。
……まぁ、そんなことをここで言ったところで、ツールが改善されるにはあと三十年はかかるだろうと、業界でもみられている。「誰もが簡単に紙芝居ぐらいは作ることが出来る」時代には、百年経っても(Windowsでは)ならない。断言してもよかろう。もちろん、プログラミングなしで、絵と文を組み合わせて様々に表示する、ぐらいであれば、市販やオンラインでそーゆーツールがあると思われるので、それを使うのがよかろう(あの「月姫」も、フリーソフトで作られたのだ)。まぁこれらにしたって、「スクリプトを組む」ぐらいはしなくてはならない。最小限、プログラミングの基礎ぐらいは知らないと、こういうものは作れない。
それくらいの根性とか技量がなけりゃ、本当に売れるもの(または面白いもの、人々に受け入れられるもの)ってのは作れないってことですかね。
他人の分析云々より、そこから自分にフィードバックせなあかんでしょ俺(苦笑)。
それでも、少しは考えるようにはなりましたがね。なんも考えず、なんも向上せず、なんてんじゃ、人間として進歩ないから。
……ま、そんなこんなで、今年もまたゆるゆるやっちきます。よろしゅ。
・4/30
レヴォ33へ行っちきました。
何とか新作を突っ込んだんですが、袋忘れて愉快なサザエさん。愉快じゃねーよ。気付いたときはマジヘコんだ。
――で。今回、初めてレヴォがビッグサイト開催になったわけだが、会場自体は行きなれているのだが、どうにも勝手が違う。
こう、縦長のホールを行ったり来たりするのは、結構楽に移動できる……ように思ったのだが、これが動いてみると、ヒジョーに移動距離が長いことに気付く。
もちろん、サンシャインでの移動距離も結構なものだ。それを考えると、平面で障害もなしに移動できるのは、かなり楽な面もある。
しかし、従来の階段とかホール出入り口のような障害は、逆に「ランドマーク」みたいなもので、そこを目印に行けばいいという心理的目印になる。そういったものがないことで、目当ての場所を探すのが、心理的に疲れるというのが少なからずあったように思える。
また、今回は約4000サークル、いつものレヴォの1.6倍ぐらいのサークルが参加している。この数もまた、移動距離を増やす一因だったかもしれない。
例えば、長い距離を車で行く場合、カーブがあったりアップダウンがあったり、景色が変わることで、「自分は進んでいる」と確信することができ、残りの距離と時間を推測することもできる。
しかし、これはアメリカのように、延々荒野の中を一本道が延びているだけであったらどうか? 今自分がどこにいるかも掴めない、どれだけ進んだかもわからない。また、これがトンネルでもいい。長い直線だけのトンネルをひたすら進んでいくのは、なかなかかったるいものだ。
つまり、今回やけに移動距離が長く感じられたのは、
1:平面移動によって、移動の区切りが掴めない
2:サークル数が増えて、絞りにくくなった
3:1ホール内だけなので、サンシャインほど移動しているという感覚がない
からではないかと推測される。
これは単に距離的なものではなく、心理的なところが多分にあろうと思う。サンシャインの移動は上へ下への大移動で、しかも会場自体は人が詰めこまれると狭い。ゆえに、逆に「会場が狭い」ような錯覚を起こしてしまい(いや、実際狭いんだけど)、移動も比較的細いゴテゴテした通路を行き来する。
逆に今回は、そういった視覚的遮蔽物が横になく、天井も非常に高い。通路もサンシャインの2倍・3倍と広く、従来のように移動するのに誰かを押し合わねばならない、ということもさほど見受けられなかった。
この広さこそが、「移動が遠い」と感じた一因ではないかと推測される。
また、今回はそこここで「いつものレヴォより本出ない」という声が聞かれた。もちろん、常に完売するような定番の大手や中堅の、固定ファンが多いところは別で、それ以外の常には「そこそこ出ている」ところが影響を被った形だ。お隣さんはプロのアンソロ作家みたいで、色々商業誌の話をしていたのが聞こえたが、終わり間際の売れ行きの話になって「なんか今日はイマイチ出が悪いなー」ということを言っていたのが印象的だった。プロでもそうなんかなあ。
まあ、これは簡単な結果だろう。単純にサークル数が1.6倍に増えているのだから、選択肢も1.6倍に増えると考えて、例えば同じ予算で来るとなれば、1サークルあたりで消費する金額は0.63倍、6割強にまで落ちこむことになる。だが実際にはそうではなく、いつも「ここはどうしようか、余裕があったら買おうか」と思っているところが、単純計算で4割弱「やっぱやめとこ」で購入をやめることになったのだと推測できる。で、必ずしも特定のサークルでそういう現象が起きるのではなく、一般参加の中でランキングされたうち、下位40%ぐらいがそのあおりを受けたと仮定して、その平均的売上減少率は、約23%。1サークル平均、2割前後の売上ダウンが見込まれる計算になる。
もちろん、これは本当に単純化した数字上の計算であり、人間の「欲」までは考慮していない。「予算オーバーだけど買っちゃえー」みたいなところがこの業界には多々あるので(笑)、そういう意味では2割減少ではなく、もう少し減少率は低く抑えられていると考えられる。
ウチも、割りくったといえば言えなくもない。新作なしで出たときと、売上額は変わっていない程度で、新作分で多少右上がりになったかな、ぐらいである。新作あれば、もう少し動くものなんだが……って、それはネタがマイナーだからだろ(苦笑)。
ともかく、今回はいつものレヴォらしくない「実験的な一回」だったかもしれない。
あんまり細かいことはカタログにもなかったが、次回はまたサンシャインに戻るそうで、また当落の悲喜交々がそこここで見られることとなることになった。
慣れた会場もいいんだけど、恒常的にBSでやってくれれば、今回はなんとなくやや低調な感じだったかもしれないが、徐々に会場に合わせて人も増えるんじゃないかなーとか思うわけで。
特にレヴォは、夏冬の巨大イベントとバッティングしないだけあって、春と秋の主要なイベントとなっている。しかもサンシャインではすでに飽和状態で、アクセスそこそこでもっと広い会場を……となったら、もうビッグサイトぐらいしか選択肢がないという話である。
ただ、ビッグサイトは借りるに当たって色々サンシャイン以上に厳しい管理体制が求められているところもあるので、もしかしたら「もう来ねぇよ! ウワァァァン」みたいなところもあるのかもしれないが(笑)。
今回は「広々使えた」という点では非常に良かったと思うのだが、やはりこの会場慣れするまで続けていってもらわないと、サークルとしても一般としても困るところもあるんじゃないかなーとか思ったり。
推測ばっかで政治家の答弁以下だな(苦笑)。
もう一つ思ったこと。
サークルにも特徴があって、「呼び込み」をするところとしないところがある。
あれを一般参加者サイドはどう思っているのだろうか?
私自身は、呼び込みでつられて、ということはまずない。呼び込みがあろうがなかろうが、目にとまらない本は手にはとらない(もっとも、これは長年の一般参加経験から、表紙だけでかなり選択してしまうからである)。
それに、それを行うことによって、売上が伸びるとか、そういったことはあるのだろうか?
おそらく、それに釣られてしまうようであれば買ってしまうこともあるだろうが、そういう人はおそらく一見さんであり、内容に満足できなければ、次からは手にも取らなくなる。そういうものだ。
逆に、呼び込みなどしなくても、売れるところは売れている。それは作品の力、作家の腕である。別に呼び込みなどしなくてもいい、ということであろう。
呼び込みというのは、結局「積極的に売ろう」という商売的な思惑が働いているから、と言えよう。
私個人としては、あの呼び込みというのは「ちょっと鬱陶しい」と思うところもあり、また「そこまで売るのに必死か?」みたいに思わないでもない。
やめてくれとまでは言わないが、そゆとこにはあんまり近づきたくないな、というのも本音である。
まあ、そのあたりは性格的なものもあるかと思われるが、ただ、同人誌即売会という、建前上「非営利」である場所で、呼び込みをするのはどうか?と思ったりもする。青っちい考えかもしれないが、あの呼び込みは、都心繁華街の客引きみたいで、個人的にはなんか印象悪いのよね。
みんなはどうなんだろ、どうでもいいことなんかなあ。神経質か俺。
まだまだ続くよ。