最悪のシナリオ 〜同人・規制編〜



 西暦200X年。
 この年は、同人漫画の世界に生きる者のみならず、出版業界にとっても大きな転機となった年であった。
 それは、蒸し暑い夏の夜に始まった。


 事の発端は、日本最大の同人イベントとして名高い、「コミックマーケット」で起きた。
 コミックマーケット(CM)は、すでに30年近い歴史を持つイベントであり、そこへ集まる人間も、概算50万人以上といわれる。有明ビッグサイトという小さなスペースに、たった二日三日の間に、中程度の都市の全人口にも匹敵する人数が集結するのだ。
 当然、これだけの人数が集まるイベントとあって、警察もその動向には神経を尖らせている。実際、暴行・傷害などの凶悪事件が起こってないだけで、小さな騒乱で逮捕・補導された者は少ないながら存在する。
 その警察にとって、そしてCM準備会にとって一番の悩みが、「徹夜組」と呼ばれる集団である。
 イベント来場者数が50万を越えるだけあり、この徹夜組も、それに比例して多くなっている。現在ではその数は一万人を越えるとも言われ、それは全対数の2%にも上る。
 2%という数字は、例えば一千人集めるイベントなら20人。FFやドラクエなど、超メジャーゲームの発売などでも、二千人ぐらいはあつまる。そのうちの2%ならば、さほどではない。が、母集団が巨大であれば、その2%枠も拡大するのである。
 都市の中央ではないにせよ、一万人が夜通し騒ぎ立て、ゴミを出しまくり、常人には理解不可能な奇怪な行動をとる。正常な市民生活を守る警察としては、準備会に再三注意を促してきたが、結局準備会にはこの人数を制御することは不可能で、せいぜい警備員を導入する程度しかできなかった。もしもこの人数が暴徒と化したら……と彼らは考えないでもなかったが、今まで大丈夫だったから今年も何とかなるだろう   そう誰もが思っていた。これ以外にも優先して考えることはあったから、こればかりに気を取られてもいられないのだ。
 しかし、惨劇は起きてしまった。


 発端は、些細な口論であった。
 これだけの人数が集まる以上、多少のイザコザが起きるのは仕方ない。そして、大抵はちょっと謝れば済むことである。
 しかし、その時、当事者は酒が入っていた。イベントの前祝い乾杯のビールで盛り上り、ハイになっていたのを 周囲で我慢していた数人が我慢しきれなくなり、注意したところ、逆ギレされて、乱闘となったのだ。
 当事者だけで収まれば、その場は鎮静化するはずであった。
 しかし、そうではなかった。
 その場に居合せた、それぞれの当事者の仲間もが、乱闘に加わってしまったのである。
 結果、彼らを止めたのは、警戒に当たっていた警官であった。彼らはすぐに応援を呼び、数人がかりで乱闘をなんとか止めた。
 当事者たる彼らは、警察の取り調べに対して、こう話した。
「俺ら、止めようとしたんス。そしたら、向こうの奴が『うるせえ』とか喚いて、殴ってきたんスよ。それで頭きて……でも、先に手ェ出したのは向こうっスよ」
 ……双方が同様の主張をするので、警察としてもこれは横に置いておいて、ともかく中心にいたと思われる数人を逮捕。周囲の見物人たちにも事情を聞くこととなった。
 夜明け近くになって警察が一時引き上げると、徹夜組もやっと緊張から解き放たれ、一息ついた。
 彼らは、何も心配してはいなかった。全員がそうであったかといえばそうではなかったかもしれない。薄々「ヤバいな」と思いはしたであろうが、それでも「なんとかなる」と楽観視していたのだ。
 だが、警察はそうそう甘くはなかった。


 準備会は、早朝から本部で協議を行っていた。
 その場には、つい先ほどまで警察の人間がいて、事件の説明と、「警察からのお達し」についての説明をしていた。
 米沢代表は、頭を抱えていた。これを待っている参加者に説明しないわけにはいかない。しかし、これを説明するにせよ、彼らは納得してくれるだろうか? サークルにも説明しない訳には行かない。しかも、もっと深刻なのは、今後のことであった。
 警察のお達しは、こうである。
 「『徹夜組』と称する大人数の集団が、乱闘騒動を起こした。付近の住民の安全を考慮し、このイベントは開催が適当でないと警察当局は判断した。以前より注意を喚起してきたにも関わらず、年々騒動は拡大する傾向にあり、これ以上この状況を看過出来ず、今回の判断に至った。
 よって、本イベントは開催を中止し、速やかに待機中の参加者全員を帰宅させること。参加者への説明については一任するが、騒動の拡大を防ぐ意味からも、警察官を100人体制で配置する」。
    中止。このイベントがここまで拡大するまでに、そのような危機は幾度となくあった。不審物騒動や脅迫状などもきた。しかし、それを乗り越えて、毎年二回のこの大イベントを成功させてきたのだ。
 しかし、それももう限界だったのかも知れない。
    まずは、通達分担や通達形式の協議に入る。時間がないので、口頭で全て説明するのは難しい。すぐさま今回の決定と、事件の全容を書いた紙を作成し、コピーして配布することを決定する。本件の詳細については、後程警察の調査発表を待って、ホームページ及び今回の参加サークルへの詫び状にて通知する。
 とにかく、情報を整理し、対応を考える時間が欲しかった。
 スタッフはそれで動き始める。書かれた原稿をざっとチェックし、コピーする。
 しかし一番揉めたのが、どう参加者に説明するか、であった。
 時間はすでに7時。駐車場には、すでに数万人が集まっている。
 パニックになったらどうする? 参加者が納得して帰ってくれるのか?
 それに、参加サークルの中には、2万部という大部数をここで捌く予定のサークルもある。その他にも、何千部という数をこの一日に頼んでいるサークルも、百以上ある。そういったサークルに、どう納得してもらえばいいのか?
 警察が中止を決定した以上、強行するわけにはいかない。
 ……仕方なく、米沢代表以下館の責任者が、すでに来ているサークルに対しては直接説明をすることとなった。まだ来場しているサークルは少ない。これから来るサークルに対しては、中で待っていてもらえれば説明会を開くという説明をして、帰ってもらえるサークルに対しては、早急に十分な事後説明を行うものとして、出来るだけ帰ってもらうようにする。会場にいる人数は出来るだけ少なくするのがベターだ。
 そして、近隣の駅で、数人のスタッフが次々来場する参加者に向けて、拡声器を使って「誠に申し訳ございませんが、本日のコミックマーケット最終日は、開催中止となりました。ご来場の皆様には大変申し訳ございませんが、本日のコミックマーケットは、諸事情により中止になりました」
 当然、詰め寄る者は少なくない。しかし、安全を考えて配置された警官が止めると、その場は表面上冷静にはなる。
 ……事情説明のための紙をコピーするだけで、会場付近の数件のコンビニのコピー機はフル回転し、うち二台がオーバーヒートで故障した。コピー枚数はB5B4合わせて6万枚にも及び、コンビニの紙のストックもなくなるまで使い尽くした。
    会場では、ひっきりなしに「本日のコミックマーケットは、事情により中止となりました。大変申し訳ございませんが、一般参加者の皆さんは、お待ちになられても会場へ入ることはできません。臨海副都心線展示場前駅前、および駐車場入り口にて、今回の中止に至る経緯をまとめました用紙を配布しております。今後の情報については、そちらを御参照の上、後日の発表をお待ち頂けるよう、お願い申し上げます」というアナウンスが流れている。
 続々とやってくる参加サークルは、事情を聞くと、帰るどころかほぼ全員が説明を聞くために、次々会場入りする。
 会場内でも、「本日のイベントは中止となっておりますので、販売はしないでください」というアナウンスが流れているが、段ボールの山を見て「これをどうしたもんか」と頭を抱えるサークルもある。二つ三つぐらいなら、ショップへ流すという手もあろうが、万単位を捌いてくれるショップはない。ここだから捌ける数というものがある。
 もちろん、参加サークルだけが内部で問題になっているわけではない。企業ブースでは、直接口頭での説明を求められ、サークルに先立ち企業への説明会が開かれた。
    そこから漏れたのだろう、本来の開始時間の一時間前には、かなりのサークルが紙に書かれていない事情を知ることとなる。
 「徹夜組に責任をとらせろ」「徹夜組がコミケをだめにした」「徹夜組を排除しろ」「準備会の責任はどうだ」……あちこちから批判の声が噴出する。
 スタッフは、殺気だったサークルの中を、逃げるように本部へと戻ってくる。これ以上彼らへの説明を詳細に行うには、一斉説明会を少しでも早く開始するしかなかった。


 一方、外では   収まりのつかない一般参加者数万人が、未だ駐車場や駅へ続く正面階段下広場に留まっている。これでも半数ぐらいは諦めて帰ったのだが、事情説明の紙が思った以上に早くなくなり、急ぎ車でコピーを取りに行っている。そのため、納得して帰る参加者は少なく、事情説明を受けずには帰るに帰れない。この日のために遠い地方からやってきた者には尚更である。
 事情説明の紙が貼られているフェンスには、人がたかって最前列の数人しかその内容を確認できない。中にはデジカメに紙を撮影し、持ち帰って仲間に見せている者もいたが、大半は押すな押すなで、なかなかその内容を眼にすることもできない。
 その場でパニックが起きそうな気配を感じた警察が、彼らを解散させようとする。しかし、それで解散するぐらいであれば、最初から居残ったりするわけがない。
「ほな、あんたから事情説明してんか。ほしたらわしらおとなしゅう戻るわ」
 誰かが、警官に向かって言った。
 そうだ説明しろ、警察なら知ってるだろ、とそこここから声が上がる。
 説明を要求する声が、高まり熱を帯びてくる。
 危険を感じた警官は、スタッフに説明させるから待ってくれ、と言い残し、その場を逃げて行く。如何に警官とはいえ、数百人を一度に相手には出来ない。群衆相手の対応は警察学校の教本にもあるが、少数で相手をしないことが原則である。相手を力で鎮圧できる最低数がいないときは、その数を揃えてから対応するのが原則。それが出来ない状態で、しかも口先三寸に自信がなければ、逃げるのが最も利口なやり方だ。
 しかし、彼はスタッフの元へ向かいながら、その後すぐに警官隊の本部へと向かう。増援要請をするためだ。100人体制、とか言っていたが、ぱっと見この群衆は数万人単位。100人の警官など、一瞬で押し潰される。機動隊の出動要請も必要になるかもしれない   彼は自分を見る視線の寒気に一瞬身体を震わせ、本部へと走った。


 9時15分、会場でサークル向けの状況説明会が開始された。
 とはいえ、まずは館内放送で、今回の経緯を説明するだけであった。もちろん、それで全て状況に納得がいったわけではない。
 最後に、米沢代表は付け加える。
 「本日、開催時間予定の4時まで、質問状の受け付けを行っております。その間、10時以降一時間に一度、館内放送で質問とその回答をお答えします。もちろん全ての質問に本日お答えできるわけではありませんし、回答に時間のかかるご質問もあると思われますので、協議や調査に時間が必要なご質問に関しては、後程準備会より質問回答集を作成して送付いたします」
 ……サークルは、それで一応は引き下がったが、大半のサークルでは質問状を作成するのに忙しかった。
 しかし一部サークルでは、「どうしても欲しい」という少数のダミーサークル相手にこっそり取り引きを始め、その対応に忙しくなっていた。
 会場内では、そういった頒布が最初はこっそりと、やがてスタッフも来ないこともあって、堂々と行われるようになった。サークルとサークルの間を小走りに行き来するサークル参加者は徐々に増え、やがてそれは、例年の午後ほどの活況を呈してきた。
 この場で売られた大手の同人誌には、例年の3倍のプレミアム価格がついた。某限定コピー誌には、一冊三万円という価格までついたといわれる。
 が、本来それを止める準備会は、外の状況の対応のための協議に入っていて、それどころではなかった。


 もうすぐ、開場予定時間である10時になる。
 警察からは、先ほどの一件から、一般参加者への説明も求められている。サークルへの説明は一応成功したが、一般参加者も同じように冷静に対応してくれるだろうか。
 しかし、放置しておくわけにもいかず、十時ちょうどに、代表から放送で一般参加者へ説明が行われることになった。
 この時、「最悪の事態」に備え、警官隊追加200名、機動隊100名がビッグサイトへ向かって出発していた。これには装甲放水車3台も加わり、かつての全共闘時代を思わせる雰囲気が隊員の間に漂っていた。
 全共闘時代を知っている機動隊長は、かつてを思い出し、「時代は変わったもんだ」と独語した。


 10時。
 いつもならここで、「只今よりコミックマーケット第x回、最終日を開催致します」というアナウンスと共に、拍手が起きるのだが   
「えー、一般参加者の皆様に、コミックマーケット準備会よりご案内申し上げます」
 いつもの女性の声ではなく、聞き慣れない男の声に、一般参加者が静まり返った。
 この時点で、一般参加者は推定8万人と言われている。うち、徹夜組は8千人、と言われている。しかも、なおも事情を知らない一般参加者は増え続けている……。
「本日、誠に遺憾であり、参加者の方々にはご迷惑をおかけして申し訳なく思っておりますが、すでに聞き及んでいるかと思われますが、えー、本日、コミックマーケットの最終日は、警察からの指導により、開催中止となりました」
 そこで、再び騒めきが生じる。
 アナウンスは声を高め、さらに続く。
「……えー。今回の中止につきまして、一般参加者の方々には、事情説明のペーパー配布が間に合わず、どのような経緯でこのような事態に至ったか、えー、御存知ないことと思われます。
 そこで、私、コミックマーケット準備会代表米沢より、今回の決定及び詳細について、ご説明申し上げます」
    警官隊が、そのアナウンスをBGMに駐車場脇に到着し、一般参加者の周囲を囲もうと配置されていく。
 さすがの警官隊も、「この人数がもし暴動を起こしたら」と考えると、一人一人はともかく、抑え切る自信はない。最悪、「これ」を使わなくてはならない   腰のホルスターに収まった金属の塊の重さを確認し、警棒を握る手にも力が入る。仮設本部には、暴徒鎮圧用の催涙ガス弾が用意され、機動隊員がそれを持って走っていく姿をみて、警官たちは安心と同時に、さらなる緊張に身を引き締める。
「……以上のような経緯により、警察はコミックマーケットが集会として危険であると判断し   
 その時、ブーイングの中に、こういう声が混じった。
「そんなの徹夜組が悪いんだろーがよー!」
 怒りと、憎しみが篭った声であった。
「そーだコノヤロー!」
「徹夜組のクソどもに謝らせろ!」
「全員逮捕しろー!」
「一番会場寄りの列が徹夜組だぞー!」
「逮捕しちまえー!」
 逮捕、逮捕、逮捕、逮捕……どこからともなく、徹夜組に対するコールが起きる。
「落ちついて下さい、皆さん、落ちついてください……」
 アナウンスなど、誰も聞いていない。「徹夜組がコミケを潰した」という事実だけが、今日を楽しみにしてきた一般参加者の怒りを爆発させたのだ。
「謝れバッカヤロー!」
 誰かが、持っていた缶を投げた。
 まだ中身の入っているペットボトルが飛んだ。
 折り畳み椅子が飛んだ。
 その他、何だか解らないが、とにかく重いか硬いものが、次々宙を舞った。
 バカヤロー、ふざけんな、死んで詫びろ、二度とここへ来るな、海へほうりこめ……
 怒号が飛び交い始めると、警官隊と機動隊が鎮圧体制にはいった。
 しかし、その時にはすでに、新たな乱闘が始まっていた。
 徹夜組のすぐ隣に位置していた列の一団は、こんな状況でもなんとかなると思っていた。そう、自分たちはルールに従い、それでこの位置にいる。それなのに、ここまで来て、ここまで待って、この半年以上待ったイベントが、この隣にいるクソバカどものために、何も手に入らずに終わりになる。
「てめーら反省してんのかよっノヤロー」
 誰かが、持っていた2リッターのペットボトルで、隣の徹夜組を思わず殴っていた。
「何すんだてめー!」
 黙って身を縮めていた徹夜組の男は、その行為にはさすがにキレた。
 俺達は昨日の乱闘とは関係ないし、毎年やっていて問題なく入れているし、お前らの方が結局は先に入っている。俺がコミケを壊したわけじゃねえ   そう反論したのがまずかった。
「てめーらがそうやってルール破り続けた結果だろーがよ! どうオトシマエつけんだよッノヤロー!」
 言葉と同時に、徹夜組の男の鼻に、きれいにパンチが入った。
    それが引金だった。


 阿鼻叫喚の地獄。
    いや、早々に逃げ出したある者は、「修羅界か、餓鬼だね」と仲間に語った。
 徹夜組への怒りに火がついた通常一般参加者は、爆竹が破裂するように、次々と怒りを発露させていった。
 徹夜組との境界が、まず乱闘の中心となった。
 警官隊と機動隊が、そこへ投入された。
    後に、警官隊は「その場の雰囲気にのまれ、行き過ぎがあったことは認める」としながらも、陳謝はしなかった。誰が巻き添えで誰が当事者であったのか、あの場では判別のしようがなかったからである。
 しかし、その警官隊にしても機動隊にしても、やはり無傷とはいかなかった。
 大半は警官隊の笛や放水開始などの音に驚き、出来るだけ巻き添えにならないように距離を取った。そのため、遅くに集まって列の後半に並んだ人々は、直接に事件とは関わることはなかった。
 が、問題はすでに乱闘を始めてしまった数百人であった。
 警棒が振るわれ、乱闘を起こしている男達が殴り倒される。そのまま昏倒してくれれば、それ以上痛い目に遭わずには済む。
 ここは中南米じゃないんだぞ   一人呟きながら、機動隊員は一人に馬乗りになっている少年を引きずり下ろし、後ろにいる警官の方へ転がした。少年はその場で手錠をかけられ、連行される。
 だが、その直後。
 「汚職警官は帰れ!」
 という怒声と共に、何か重たいものが機動隊員の後頭部に叩き付けられた。
 色々なものが入ったディパックを振り回していたのが、たまたま当たったのである。
 しかし何が起こったのか判らないまま、機動隊員はその場に倒れる。痛みはさほどではなくとも、衝撃が大きく、迂濶にも脳震盪を起こしてしまっていた。
「こんなとこ来るヒマがあったら、上司の事件隠しでも調査してこいってんだよ!」
 誰かが、背中を踏んだ。脇腹を蹴った。
 バカ野郎、それは俺らの管轄じゃねえんだよ   と反論する暇もなく、さらに数人が足、腕、背中、顔と全身を蹴りまくる。
 彼が意識を失う直前、顔を蹴っていた少年の頭に、別の隊員の棍棒が命中し、倒れるのが見えた。
 そして、微かに鼻に残った催涙ガスの刺激臭   そこから先は覚えていない。
 別の警官は、真っ先に乱闘へ飛び込んだ。手柄が欲しかったのもあるが、「たまには世の中の甘ったれたガキどもを思う存分殴り飛ばしたかった」というのもある。
 なので、片っ端から乱闘している奴の顔面を、バキバキと警棒で殴り、戦意を喪失させる。おとなしくさえさせれば、すぐに片付く。
 そう思ったとき、顔に連続して鋭い痛みが走った。
「ざっけんなこの野郎!」
    エアガンだった。
 タタタタタタタタ。
 1分に500発を撃つというエアガンの連射が、警官のいる方向へ向けられた。
 とっさに顔を覆うが、服を着ていてもエアガンの威力は大きい。細い棒で連続して突かれたような痛みが、上半身を襲う。
 動きが止まったその警官の背中へ、誰かが蹴りを入れた。
 もんどりうって倒れる警官に、蹴りがさらに入る。踏みつける。エアガンの乱射。
 警官は、蹲って暴力の嵐が過ぎるのを待つしかなかった。
「権力とつるんでんじゃねーぞ!」
「てめーらは身内の逮捕してからこいよ!」
 そのような権限があろうがなかろうが、一般市民から見れば警察はどれも「同じ警察」でしかない。
 結局彼は数分後に救出されるが、この一件以来集団暴行に対する恐怖が染み着き、入院治療から解放されると同時に、首都圏から離れる地方への転勤を願い出たという。
 東館脇駐車場は、すでに乱闘姿も判別できないほど、白い煙に覆われていた。
 乱闘開始と同時に警官隊や機動隊が出動したが、普通はまず催涙ガスを先に撃ちこむのである。それが、隊員が鎮圧しているところへガス弾が撃ち込まれたのである。
 機動隊はガスマスクを装備していたので問題はなかったが、警官隊にはそれがない。
 一般参加者も、警官隊も、その場から逃げるしかない。機動隊隊員の中には、煙で視界を妨げられ間違って警官を殴打する者もいた。
    そして、催涙ガスが潮風に吹きとられ、静寂が戻ったのは、10時32分のことであった。乱闘の実質時間はわずか10分ほどだった、と傍観者たちは述べた。しかし彼らにしても、出来るだけ風下から退避する為に海側へ移動しながらのことであったので、直接確認していたわけではない。ただ、移動し終わった段階では静かになっていた、ということである。
 死者こそ出なかったものの、負傷者は300人を越え、うち警官32名、機動隊員8名が負傷。重傷者も10余名に達した(警官一人を含む)。
 逮捕者は100名以上にも上ったが、実際乱闘に参加していたと思われる数は、その十倍もいたのではないかと推測されている。が、ここに集まっている数万人を全員逮捕するわけにもいかず、また全員から事情聴取するわけにもいかなかったため、この場はそれで終息せざるをえなかった。
 しかも、住所氏名などのデータが判明しているサークルからは一人も関係者が出なかったため、準備会も協力しようがなかった。
 しかし、徹夜組の名簿がどこからか警察の手に渡り、それを元にさらに十数人が事情聴取を受けた、という。
    真夏の事件は、これで一応終息した。
 しかし、解決はしていなかったことは、その後の展開が雄弁に示していた。


 コミケ関係者には、これは重大問題であった。
 準備会そのものは当然のこと、ビッグサイトという会場、印刷会社、協賛企業、そして参加していたサークルも、この事件は重大であった。
 次回の開催は当然見送られ、その次も開催のメドはついていない。ビッグサイト側も、このような事態を踏まえ、「コミケの警備が完全に確立するような体制」を書面で提出し、実施することを約束されない限り、この会場では開催しないことを準備会に通達してきた。
 つまり、事実上、「コミケ消滅」という結果になったのである。
 準備会の問題はそれに留まらなかった。サークルに対する返金処理、さらなる事情説明の対応、警察からの事情聴取と今後の対応説明、近隣住民に対する公式謝罪、カタログの後半が使用されなかった事に対するクレームとその対応、協賛企業に対する謝罪と状況説明……数え上げれば切りがなかった。
 そして、社会的にもこれは大きな問題になっていた。
 テレビでも「フーリガン問題に匹敵する大規模な騒動」とも評され、準備会の体制や認識の甘さが多方面から攻撃対象となった。
    そういった社会的な評価が、他のイベントに波及するのに時間はかからなかった。
 ビッグサイトで開催を予定していた同人イベントは、会場側から全てキャンセルされた。理由は全て、「安全管理の面から」であった。
 そして、それは即その他の会場にも伝染した。
 最初はサンシャインである。
 サンシャインシティにあるワールドインポートマートそして文化会館は、都心に近いイベントホールとして、多数のイベントが開催されている。その規模は、交通の便の良さもあって、ビッグサイト以外では首都圏では最大級である。
 特にサンシャインでは、イベントホールをいくつも使用して開催するという特徴上、イベント参加者以外の一般人も同じ通路を行き来する。そこで通路脇に座り込んで同人誌を読み耽るという、一般人からは奇怪な行動が問題視されていた。
 会場からも、同じ事が起きた場合、警備員だけでは対応できないし、警察の介入があって事件になったりするとイメージダウンも甚だしいので、「警備体制計画書」を提出して、それを会場が承認した場合に限り開催を認めるということで、安易に同人イベント開催は出来なくなってしまった。
 それは関東圏に留まらず、名古屋、大阪、福岡などの大都市イベントをも直撃した。
 特に、「エロ同人を扱うイベント」は危険である、という一部マスコミの報道が、その警戒感を強めさせた。
 ……そして、その年、会場側が熟知しているごく小規模な穏やかなイベントを除き、日本から同人イベントが一斉に消えた。
 年末の恒例イベントであった冬コミケもなくなった。同人イベントで稼いでいたごく一部の同人専業作家は、突如収入の道が絶たれたかにみえたが、ショップと協力して、徐々に巨大な在庫を捌くルートを確立、何とか活動中止を免れはしたが、活動縮小を強いられることとなった。
    しかし、そういったショップを介した商売をしていない多くのサークルは、事実上活動を停止もしくは休止せざるをえなくなった。発表の場を、交流の場を奪われ、活動を継続していけなくなったサークルは少なくなかった。
 中にはネットを通じて発表や通信販売などを行うサークルも少なくなかったが、誰もがネットで買物をできるわけではなく、しかもどういったコンテンツ作りをしたらいいのかも判らないことも多く、結局活動中止に至ったところも出てきた。
 印刷会社も、この巨大イベントは稼ぎ時であったのに、それが中小の各種イベントも巻き添えにして倒れてしまったため、そこに依存していた経営の弱さが露呈。大手サークルを常連として抱えている印刷会社は、ショップを介してある程度は印刷数を確保できたが、規模縮小は免れなかった。
 生き残ることが出来た印刷会社は幸運であったが、それ以外の中小の印刷会社は、次々と消えていった。同人誌印刷は確かに収益の柱となっていたが、それに依存するあまり同人イベントと一蓮托生になっていたからである。


 ……年が明け、空虚な年末から新しい年に入っても、状況は悪化する一方であった。
 この事件は年末に再び報道され、「なぜこんな事件が起きたか」という原因が追求され、それが歪んだ出版業界の問題へと発展していった。「エロ本を求める集団が引き起こした事件」   世間ではどうやら、そう認識させてしまったようである。
 折りしも、「児童ポルノ禁止法案」の法改正が国会で取り沙汰されるようになり、それに絵を入れるかどうかが審議されるようになった。
 そして、この事件を切っ掛けに、「このような世界的に稀に見る事件を引き起こす可能性が、漫画にはある」ということを、法改正を推進する女性議員から強烈にアピールされるようになり、次期国会では規制強化が濃厚となっていた。
 出版や映画、ゲームなどの業界は規制に反対したが、この事件を引き合いに出されると反論も声が小さくならざるを得なかった。今までの反論は、「その規制によって何か人権擁護や犯罪抑制につながるのか」という点と、「すでに存在する芸術作品も規制の対象にはいり、文化統制、ひいては戦時下のような表現の統制につながる」という点であったが、これで「犯罪抑制」という部分については声を大にして主張できなくなってしまった。規制側に大義名分を与えてしまった形になったのである。
 ……そして、この年も結局、大規模なイベントは復活しなかった。
 ビッグサイトでは、静かな夏と冬を過ごしていたが、都バスやタクシーにとっては、厳しい夏と冬になった。イベントに訪れる人々を輸送するための確実な稼ぎ時がなくなり、彼らも収益低下を余儀なくされた。


 この一年で、同人活動はショップへ委託するか、オンラインが主体になった。
 ショップでも扱ってもらえない、オンライン対応ができない一部の同人作家は、作家活動を停止せざるをえなくなった。「私はただ、自分の作品をみんなに見てもらいたいだけなのに……」と、彼女は友人に涙ながらに語ったという。彼女の不運は、周囲にパソコンに詳しい人間がいないこと、同人活動に理解ある人間が少なかったことである。あの一件以来、「同人活動なんてエロ本作りと一緒だ」という社会認識が一部で定着してしまい、活動自体が社会的に一層認知されなくなっていったのである。
 18禁でない創作であっても、「漫画同人活動」と聞いただけで、「ああエロ本描いてるんだ」と思われる風潮が広がり、同人漫画は冬の時代へと突入する。
 同じくして、商業誌も淘汰と規制の時代へと突入する。出版倫理審査が厳しくなり、少しでも違反するとすぐに出版停止処分が下るようになった。次回国会で成立確実と目される「児童ポルノ法案改正案」が、出版業界もさらなる不況へと追い込んでいく。
 コンビニの店頭からは成年漫画誌が消えた。通常の成人向け雑誌も、大手コンビニチェーンから姿を消した。そのため、コンビニは集客力を下げ、右片上がり伝説に陰りを生じるようになる。
 これは、成年漫画以外の少年少女漫画誌でも例外ではなかった。少しでもHなシーンが入ると「倫理上好ましくない」ということで、下着はおろか、水着やミニスカートまでもが厳重な基準に基づいて描かれなければならなくなった。「劣情を催すような描き方は、少年誌では極力しないよう」という、出版社自身の自主規制により、漫画は自由度と勢いを失い始めていった。漫画誌から撤退を表明する出版社も現れるようになった。
    日本の三大メディア文化、漫画、アニメ、ゲームは、すべて共通した「自主規制」で動いていた。購入層が限られるOVAなどは規制対象外となったが、公共の電波に乗るメディアに関しては、厳しいぐらいの規制が追加されていった。
 PCゲームの9割を占めるアダルトゲームは、倫理審査内容が一段と厳しくなったようだ。新たな児童ポルノ禁止法に対応し、「子供に見える表現」についてはこれを一切排除する方向でチェックを行っているという。
 「勢いがなくなりましたね」と、とある秋葉原の同人ショップ店員はいう。
「規制規制で、作家も減りました。売れ筋だった作家さんは、『これが描けないんだったらやめる』とまで言い放ったそうですけどね。まぁ時代の流れと法には逆らえませんわね。もう地下へ潜っちゃった、という話も聞いてますが、どうなんでしょ。僕はそこまでは知りませんがね」
    と、彼は意味ありげな笑みを浮かべて答えた。
 ゲーム業界も、新規参入が減り、撤退も相次いだ。特に「ギャルゲー一本」でやってきた会社は、「こんな規制があったら売れない」とこぼし、PCアダルトへ転向していったというが、そちらでも苦戦をしいられているという。
    世界に名だたる日本のメディア文化は、試練の時を迎えていた。


 そこは、会員制のホームページであった。
 そこには、ホームページの登録・検索機能があり、様々なサークルが登録されている。
他にも様々な情報掲示板、そして同じような会員制サイトへのリンクがある。それだけを見れば、数年前の検索サイトと特に変わったところもない。
 会員制であるから、当然一般人はアクセスできない。しかも、このサイトは紹介制度で、登録者の紹介もしくは推薦がなければアクセスすることはできない。
 一般登録ユーザーは、ここで様々なサークルの作品情報を検索し、気に入ったところへ飛び、そのサイトで各サークルの作品紹介を見て、気に入れば通信販売で購入する。
 つまり、会員制オンライン販売サイトなのである。
 完全なクローズドサイトであり、しかも主催者が自前でサーバを構築し、専用線を引いてまで立ち上げたサイトであるため、主催者の趣旨に賛同する人間だけがここにアクセスできるよう、完全会員制を敷いているのである。
 現在の会員は600名余り。全員、本名と住所氏名の登録を義務付けられている。これは、封書でIDとパスワードを交付するからだ。つまり、このサーバの中で何か事を起こせば、誰がやったかすぐに判る仕組である。
 そのため、ここは「紳士の社交場」であり、論戦にはなっても「口撃」はしない、というのが暗黙の了解である。主催者が「口撃」であると判断した場合には、本人へ直接メールで連絡をして、アカウントを削除することもある。
 しかも、ここへは主催者と協力している人物のプロキシサーバを介してしかアクセスできず、どこにあるかは一般に知られることはない。
 そこまで厳しく規制するのには、「ここを部外者に知られたくない」からである。もしここを誰かに知られれば、再びどこか別にサーバを立ち上げ直さなくてはならない。
 そんなアングラサイトであるが、これだけならどこかに同じ形態があるのだが、もちろんその内容に特徴がある。
 すでに日本では禁止になった「ロリ絵」の描き手を中心に集め、それを販売するためのアングラサイトなのである。
 ここの会員のうち、70名ほどがそういった描き手であり、彼らは児童ポルノ法案改正法が施行される前に、主催者が目星を付けておいた描き手である。
 描き手の評価は厳しかったが、絵的なレベルもともかく、独特の何かをもっているかどうかを評価された。絵的に非常に優れている、パロディを描かせれば上手い、一部に熱狂的なファンがいて推薦、とにかくやらしい、強姦ものが得意、などなど……つまり一芸評価である。
 もちろんそこには主催者の主観が大いに入るのだが、複数会員の推薦があれば描き手に加わることも可能なようになっている。
 描き手=作家会員は、ここへ無料登録して自作品を売ることが可能だが、一つ一般会員と違う点がある。年間2枚以上、一般会員に配布するCDのための絵を提供する義務があり、それを満たしている間はここを無償で利用できる。
 ここの売り上げは相当なものだ。一般会員は、ここに入ることができない会員に頼まれ、一作品を5本6本と購入することが多い。それが百人いれば、1作品について平均500本程度は売れることになる。しかも全てデータのダウンロードで行っているため、CDを焼く必要もない、通信販売のようなやりとりも必要ない。銀行口座と連動した電子マネーが決済に使われ、作家の口座へ手数料を除いた額が自動振込される。
    こうしたアングラサイトが、規制以後は、雨後の筍のごとく林立した。もちろん、いくつかは思うように人が集まらず閉鎖となったが、それでも今では企業が「会員制アダルトサイト」として表で運営も始めたり、新たなビジネスへともなりつつある。


 ……かつては隆盛を誇った同人誌の世界は、こうして崩壊し、オンラインへとその活動の場を移した。
 しかし、法の規制は徐々にその絞め手を強めている。いずれこういったオンライン取り引きにも、規制は及ぶようになろう。
 しかしそんな時には、新たな取り引き形態が生まれていることであろう。
 そして、現在ロビイ活動中である「児童ポルノ法案改正案・新案成立委員会」が、次の国会で、現状の規制から「実在の人物やそれをモデルとしたもの以外の創作物を外す」ことを目的とした法案を提出するという。審議に入る可能性は五分であるというが、今の法務大臣は「現在の規制は芸術的側面を無視して決定された」というコメントを出しており、法案改正にも前向きだと言う。
 上手くすれば、この法案が改正される前のレベルには戻すことは出来るだろう、と関係者は言う。
 そうなれば、商業誌やゲームの無駄な規制はなくなり、創作活動は以前のような活力を取り戻すことであろう。多少歪んだ創作力ではあるかもしれないが、活力がないよりはずっといい   そう、ある大手出版社の編集長は、雑誌インタビューで述べた。
「前例があれば、二度と同じ間違いは起こさないでしょう。過ちを犯した結果どうなるか、それは読み手自身が思い知ったはずです」


 しかし、一度信頼を失った同人活動が再び表に出るまでには、更なる時間と努力を必要とするのである。
 それが10年後になるか、20年後になるかは、まだ判らない。
 それでも、「いつか必ず」と信じる者は少なくない   そして、その時が来たなら。



<終>



※この話は完全にフィクションです。でも、ノンフィクションになる可能性はゼロではありません。
 特にコミケの事件の下りは、可能性が小さいとは断言できません。むしろ大きいのではないかと危惧しています。
 「うわっこんな未来いやじゃー」と思ったら、こんなことにならないよう、知り合いに啓蒙活動を行って下さい。特に徹夜組がいた場合、「絶対にやめろ」と止めて下さい。
 本編では徹夜組が全ての元凶のように描かれていますが、実際一番警察が危険視しているのも徹夜組の動向です。彼らがなにかしでかせば、即警察の介入を許し、コミケの存続を危うくします。その他のイベントも同様です。
 それ以後の展開は、まぁ悪い方へ悪い方へと流していますが、最悪の自体が重なれば、漫画関係者にとっては本当にシャレにならない時代が来ます。
 そんな隙を見せないよう、こんな事態にならぬよう、我々一人一人が気を付けなければなりません。
 また、コミックマーケット準備会にも、「これだけの社会的責任がある」ということを再認識して頂き、何とか徹夜組問題を善処して頂きたく、この作品を捧げます。
 もちろん、我々に出来る協力は惜しみませんので。

 また、本作品は、あくまで可能性の一つを考慮したものであり、このような危険性がある、という事実から結果をシミュレートして創作したものです。ゆえに、起こった事実を追った形になっています。
 実際の社会現象や法的制度の変更などは、特に関係あるものだけに焦点を絞っただけで、あまり細かい点に付いては表現を割愛しました。ちうかあんまり書いても仕方ないし。
 また、私はノンフィクション専門家ではありませんので、多々想像で書いている部分があります。実際の組織や人物とは違う部分もありますので、個々の行動については、実際の行動と多少違うものとなるはずです。あとは、想定される行動から起こりうる結果を書いたつもりです。
 また、本編にはコミックマーケット準備会代表として米沢氏の名前が出ていますが、これはご本人の名誉を傷つける目的で使用したのではなく、社会的に認知された組織の代表者、という立場で使用しています。また、これは各実在イベントおよびイベント会場についても同様です。ご了承ください。

 この話は、思いついて3時間で書き上げました(でも後書き部分だけで3時間かかってます)。
 そのため、多々穴がありますが、気にしないでください(苦笑)。
 そんなことより、もっと大きい問題を提起しているつもりですので。

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<文責・著作:Nighthawk 2002.5.25>
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